地震保険について?
阪神淡路大震災、東日本大震災、また2024年1月の能登半島地震等の経験を経て、組合員の間でも地震保険への関心が高まり、共済グループへの問い合わせも増えてきています。共済グループの火災共済では地震保険は行っていませんので、どうしても地震保険にご加入したい、という方は民間の地震保険に入っていただくほかないのですが、そういう方と話していても「地震保険の限界については案外知られていないのでは・・・」という印象を持つことが多いです。そこで、地震保険の幾つかの問題点について触れてみたいと思います。
問題点の第一は、火災保険とセットでなければ地震保険に加入できない、ということです。つまり、地震保険のみ単独での加入はできないのです。そのため、具体的には、A社の火災保険に入ったうえで、同じA社の地震保険に入る、ということになるわけで、地震保険は一面、保険会社にとっての販売促進ツールになっている感があることは否めません。
問題点の第二は、にもかかわらず地震保険金を受け取る場合、同時に火災保険金を受け取ることができない、ということです。受け取る保険金はどちらか一方のみなのです。ですから、火災保険金と地震保険金を同時に受け取って家の再建に充てる、ということは不可能なのです。
問題点の第三は、補償額に上限があるということです。地震保険は建物の「時価額」の30~50%を限度として補償する保険であるために、地震保険だけでは住宅を再建するための費用(住宅再調達価額)をまかなうことが不可能なのです。これは、そもそも「地震保険に関する法律」の趣旨が、「被災物件の完全復旧」にあるのではなく、「被災者の生活の安定に寄与する」ことを目的としているためです。つまり制度自体が被災住宅の再建を目的に設計されているわけでないことに留意が必要です。
問題点の第四は、火災保険と合わせた保険料が非常に高くなる、ということです。火災保険料+地震保険料で、火災保険単独加入のほとんど倍の保険料が必要となります。また今後の保険料値上げも予定されています。
以上のように、地震保険は問題点が数多くある保険であり、決して万能の保険ではないことをぜひ承知していただければと思います。
本来、世界有数の地震国である日本では、地震のように個々人の資力ではどうにもならない天災については、民間保険に任せにはせずに、国自体が責任を持って被災の補償をするような体制を構築することが必要です。これは政治の問題です。
なお、共済グループの火災共済は地震保険を扱ってはいませんが、掛金そのままで地震見舞金制度が付帯されています。東日本大震災においては被災された加入者に平均100万円の見舞金(最大で300万円の見舞金)をお届けすることができました。
また、2023年制度改定で風水害特約(地震見舞金付き)が新設され、ご加入の皆様のニーズに応えられる内容になってきています。